本当にファンに愛される球団とは…

13.技術だけではないプロの戦術を演出せよ

先日、こんなことを言われた「何だ、パリーグって、別にセリーグの下のリーグじゃなかったんですね。てっきり、サッカーのい1部と2部と、同じものだと思ってました。」と…この本人、もちろん野球に関しては、ズブの素人なのは当然なのだが、逆に言えば、素人さんから見れば、そう映るのもまた事実だろう。さしずめ関東であれば、巨人とヤクルトと横浜が1部リーグで、西武とロッテは2部リーグ。関西なら、阪神が1部リーグで、オリックスは2部リーグと。まあ、あながちそう映ってしまうのも、理解できなくもないくらいの、マスコミの偏向報道である。例えば、セリーグのお荷物球団ファンあたりは、セリーグであることを誇りにしている悲しさもある。けど間違っても、横浜がソフトバンクより強いなんてことはない。この点では、「パリーグは大味な野球」とか「パリーグは力勝負だけ」という、変な報道もあったりして、何の根拠もないのに素人くさい理屈だなと思っていたが、実は根拠があったのである。

先日、楽天のノムさんが「パリーグにはくだらないルールが多すぎで、野球の本質が損なわれている」と言っていたが、要はDHとか、予告先発とか、プレイオフとか…ま、これも良し悪しなので、目くじらを立てるほどでもないのだが、目くじらを立てる内容もあった。それが「コーチャ-ズボックスから、球種を教えてはいけない」「ベンチからメガホンで指示を与えてはいけない」と。いやいや、こんなルールがあったとは、知らなんだ。もしこれが本当なら、それこそノムさんの言う通り、くだらないルールである。

野球というスポーツの印象はといえば、広くて緑色の芝生の美しいグランド。そして、そのグランド狭しと、駆け回る屈強の男たち。その投げるボールのスピード、それをバットで乾いた音を鳴らして打ち返す。打球を追いながら、ボールに向かって飛びつく勇ましさ。ベースを駆け抜けるスピードと、それに負けまいと投げられる大遠投。そして、ホームベース上でのクロスプレイには、猛々しくぶつかり合う男らしさ。なんと爽やかで、清々しいスポーツなのだろう…というのは、表向きの話であって、実際には変化球やコーナーワーク、或いは緩急を用いた投球や、打者に応じた守備体型、走ると見せかけて実際には走らずなど、騙し合いや読み合いの要素も強い。要は、この両者が絡み合って、複雑にしているものを含めて、非常に面白いスポーツだと思う。どうも、パリーグが制定したルールは、あまりにもその清々しさばかりを追い求めているようで、そこらへんを野村監督は指摘しているのだろう。少年野球なら、それでも良いのだが、上に行けば行く程、その読み合いのウエイトは高くなるし、特にプロならば、技術面の素晴らしさもさることながら、作戦面の要素も大いに楽しめるのではなかろうか。ベンチ全体での戦いの要素がなく、ひたすら技術のみを追いかけるのであれば、アマチュアとは言わないまでも、2軍の試合で十分だ。

いや、アマチュアでも、トップレベルなら戦術も素晴らしい。ご記憶の方も多いかと思うが、平成10年の夏の高校野球で、松坂大輔(西武)のいる横浜高校とPL学園の試合で、松坂を打ち崩したいPLは、横浜のキャッチャーの動きを見て球種を読み、ときの3塁コーチャーだったPLのキャプテン平石(楽天)が、打者に指示を出していた。その指示に基づき、序盤戦で大西(オリックス)などの主軸が松坂を打ち崩すのだが、さすがに横浜も気付き試合中に修正するなど、高校野球としてはハイレベルな闘いだった。

野球の試合を観ていて面白いのは、経験を積んで行けば行く程、その奥深さが見えてくるので、もう飽きたということがない。確かに、経験の浅い人なら、目の前に起った事象を受け入れるのに精一杯かもしれないが、これも慣れの問題で、数をこなして行くとまた違った視点でみることができるのが、野球の素晴らしさである。よって、パリーグのこのルールは、即刻廃止すべきであるし、更なるハイレベルを求める上での、阻害要因以外何物でもない。

かつて、ダイエーが福岡ドームで、観客になりすまして望遠鏡で相手のサインを覗き込んで、ベンチに連絡していたということが発覚したが(一応していないという整理だったが)、確かに物理的な細工をしているのは良くないが、試合の中での読みや指示を、チーム単位で行うのは全然卑怯でもないと思うのだが、如何なものだろうか。だいたい、私の少年野球時代だって、試合が始まれば控え選手の最初の仕事は、相手チームの監督をよーく見て、サインの解読からあ始まったし、そう教わったものである。そしてベンチから、それこそメガホンを使って、大声で合図したものである。そんなの、少年野球でもできるのに、何でプロでやったらいかんのだろうか。

単純に、純粋に技術だけなど、ファンだって目が肥えてくれば満足しない。野球の奥深さ、プロの素晴らしさを、もっともっと演出して欲しいと思う。