本当にファンに愛される球団とは…
6.無きに等しい統一契約書を見直せ
「井口資仁」というメジャーリーガーだが、彼が福岡ダイエーからメジャーに移る際の扱いは、FAでもポスティングでもなく、なんと「自由契約」。言葉を替えれば「戦力外」扱いなのかもしれないが、彼は立派なレギュラー選手で、30歳そこそこ。誰もがこの状況を推察するに、入団時に取り交わした「サイドレター」の存在があったと思うだろう。井口は、大学野球記録を塗り替えるホームランと、走攻守三拍子揃った(守備は大したことないと思うが)稀代のプレイヤーとして、数多くの球団が逆指名での獲得を争った。その中からダイエーを選んだのは、もちろん裏金の存在も大きかったと思うが、結局のところ「本人が希望すれば、いつでもメジャーに行ける」という約束があったのだろう。何故そう思うのかは、昨年と今年のオフに、投手の和田と新垣が揃って「近いうちにメジャーに!」と言い始め、ダイエー入団時に交された約束が、ソフトバンクに代わって反古にされないか心配だったと推察されるからである。このよう手段でダイエーは、毎年の有望選手が逆指名で獲得し、活躍しないとメジャーの目も無いから、巨人と違って殆ど成功して、優勝も何度もしてきた。ま、ある種の戦略であるし、根本的に辞めるもアメリカに渡るのも自由だと思うので、現在のルール上問題はないのだが、「統一契約書」というのがあるんじゃないの?という疑問が湧く。
最近特に耳にする「サイドレター」だが、この効力は絶大で、例外事項としてそれこそ統一契約書を吹き飛ばす力を持つ。契約社会のアメリカは、このような統一契約書のような形式はなく、個々の選手が球団と違った契約を行っていて、ある選手は遠征で恋人の同伴が許されたり、ある選手は5試合出たら1試合休めたりなど、かなり詳細なレベルまで決めている。しかし、団体競技の野球には、集団性というのが重要であって、それが不公平感を緩和するので、私自身は統一契約書の存在自体は賛成。球団側にしても、画一的に処理できるので、労力は要らない。しかし、このサイドレターが認められていて、逆指名入団選手や、FA絡みの選手が要求すると思われる。中村紀洋は、FAで4年契約で残留した時「2年後に希望すればメジャーに行ける」という条項があったそうで、それ以外にも間違いなく「秋季練習の免除」などがあったな。本来練習の免除などは、その選手のそのときの状態に応じて、必要とあれば参加すべきであり、個人事業主であるから強制力はなく、契約に唄うレベルではない。それだけ、プロ野球には「無駄な強制」が多いのだろう。
で、その統一契約書の文面を見てみたが、なるほどねぇ…。ほぅ、前も書いたが、遠征の度にメシが支給され、オープン戦に出場すれば年俸以外に手当てが出るんですか…こりゃ甘ったれてんな。まあ選手の「就業規則」のようなものだが、総花的な表現も多いが、この程度の強制力なら厳守させるべきであろう。できれば、もっと細かく具体的に記載し、最も効力のあるものとしたい。
確かに、選手個々の状況というのは違うかもしれない。しかし、プレイをするうえでの支障は、その都度監督をはじめとする現場のマネージャーが判断すべきことであり、契約で拘束することではない。また、移籍についても同様で、ヤクルトの石井の件でもそうだが、安易な約束はお互いを不幸にさせるので、選手本人の外国特にメジャーリーグへの移籍希望については、レンタル移籍やトレードなどを、別に制度化する必要がある状況まで来ていると思われる。
NPBの伝家の宝刀「野球協約」については、その位置付けも判明しないし、解釈の相違を呼ぶことになり兼ねないので、大いに改善すべきであると思うが、統一契約書については「最優先」の位置付けとし、それに抵触しない範囲でのサイドレターは構わないと思う。更に言えば、外国人選手に対しても適用すべきであると考える。同じチーム・リーグでプレイする以上、同様に扱うのは当然であるし、球団も所属する外国人選手をリスペクトすべきである。と、なると、その裏返しで、外国人選手の人数制限は撤廃しなければならないと思うが、それはそれで仕方がないであろう。むしろ、統一契約書の存在が、訳のわからない「代理人」という存在を遠ざけることに繋がると思う。もっとも代理人については、あの程度の者に対して、球団も法律などの専門家を雇って、対抗すべしと思うが…ま、代理人については、別項で書きたいと思う。
そうなると、球団側に一方的に有利な統一契約になりそうだが、そこは選手会との交渉事項である。