本当にファンに愛される球団とは…
2.2リーグ12球団は多いのか少ないのか?
30年ほど前、私が野球を見始めた頃だが、小学校でボチボチ野球の話をし始めたりしていた。ちょうど、担任の先生も野球ファン(阪神ファンだったが)で、色んな話もしたのだが、子供のくせに先生と「ジョーンズとカークランド」の比較議論をした記憶がある。で、程なく「ガイジン」の話から「大リーグ」という話になり、先生の勧める本である、こども伝記小説である「ベイブ・ルース」を図書館で借りて読んだ。そこでは、大リーグに対して「小リーグ」という言葉を使っていて、何となく興味のようなものを抱いたが、程なくそれが「メジャーリーグ」と「マイナーリーグ」であることを知った。そして、メジャーリーグの球団は、2リーグをそれぞれ東西に分けた言わば4リーグのような形態で、各リーグ6球団存在し、全部で24球団あったことを、先生から教わった。ちょうど、日本の倍の数の球団数だが、先生曰く「日本の人口は1億人、アメリカは2億人だから、ちょうどえぇやろ」という言葉に、何となく納得していた。
30年後の現在、メジャーリーグは30球団に増え、日本は12球団のままである。人口構成が、アメリカが飛躍的に増加したのなら理解も出来るが、当時と大きな変化はない(実質的に、カナダを包含しているが)。また、アメリカが日本以上に野球の人気があるのであるかと言えば、そうでもない。アメフトやバスケットボールの方が、人気が高いのは事実である。よって、この数字を見れば、この30年の間に、日本もエクスパンションは可能であったし、それは今も同じであると思われる。要は、それを行おうとする意志の違いであると思われる。
一番人気であるわけでないアメリカでも、競技人口は決して少ないわけではなく、メジャー球団は最低5球団以上のマイナーチームを持つことが義務付けられ、その選手育成が重視されている。またそれ以上の数の「独立リーグ」もあり、そこに所属する選手は、基本的にメジャー球団へのオファーを待つスタンスで、日本の「四国アイランドリーグ」と同じ。ただ、日本と大きく違うのが、所謂社会人野球と言われる企業チームはない。日本の場合は、プロ12球団が持つマイナーチーム、要は2軍は各球団1チームのみ。独立リーグは、四国がある意味先駆者であるが、近年はクラブチームが相次いで創設されているが、一方で廃部になる社会人野球チームの、選手の受け皿の色彩が強い。今や、社会人チームの登録数が100チームを切ったようで、今後はクラブチームの躍進が期待されるのだが、アメリカでは2000チームもあるそうで、その数はまだまだ少ない。しかし、それで収まっている以上、日本はアメリカに比べて、競技人口比率は少ないと言える。
競技人口比率が少ない一番の原因は、何と言っても「若年層での挫折」であり、更に言えば、高校野球の段階で、才能ある者を潰してしまうことにあると思う。部員が100人を超え、3年間ずっと裏方をしていた部員が半数以上なんて、全く馬鹿げているが、高校野球については、大変な問題だと思っているので、詳しいことは別項で書く。
もう一つの問題として、フランチャイズがある。やはり、ある程度の集客が必要であり、多くの人を輸送する交通手段が発達したところが望ましいのは事実。となると、一つの選択基準が「政令指定都市」となるが、札幌・仙台が埋まったので、ほぼ日本全国に分布した感じである。もっとも、関東圏や関西圏、或いは北九州市などは、政令指定都市であっても上位の都市に吸収されているような形であって、独立的な立場ではない都市もある。では、政令指定都市でないと、球団を持つことは困難なのか?決してそんなことはないと思う。まず集客面だが、大都市は概して野球以外のイベントも多い。Jリーグもそうだが、コンサートやミュージカルなど、野球以外の娯楽も発達しているので、必ずしも有利とは言えない。かつて、ロッテの営業担当者が「我々にとってのライバルは、西武や近鉄ではなく、東京ディズニーランドです」と言っていたが、試合のイベント化は重要である。また交通手段としても、地方球場は概ね駐車場が用意されているし、電車移動もその便数は少ないが、それほど苦にならないくらい近い。例えば、松山ぼっちゃんスタジアムは、松山駅から1駅である「市坪駅」の目の前にあるし、倉敷マスカットスタジアムは、岡山駅から2駅、倉敷駅から1駅で、非常に便利なところにある。よって、スタンドに閑古鳥が鳴くどころか、ヘタな首都圏や関西圏の競合球団より、他球団とバッティングしない分、逆に盛り上がるようにも思う。
上記の理由から、私は興行面ではエクスパンションは可能であると考えるし、むしろ財政的に厳しい企業チームや、クラブチームよりも「プロ」であれば資金面では有利に働くと思う。メジャーでも問題視される、エクスパンションにより、全体のレベルの低下が懸念されるが、それはあくまで「一時的」なことであり、時間が解決する。よって「16球団」を望むが、あと4球団は具体的に、北東北(秋田?)・静岡・金沢・岡山・四国(松山?)・南九州(鹿児島?)あたりで球団を創設できるではないかと考える。
また、それに伴い、リーグ構成はいろんな考えがある。2リーグ8球団づつでも良いし、2リーグを東西に分け4リーグ的でも良い。ただ、各所で「東西」に分けるような意見をよく耳にするが、余り賛成しない。交通費は嵩むかもしれないが、結局は狭い日本であり、札幌と福岡も2時間半で行けるのだから、東西分けは意味がないと思う。もっとも、同一リーグ内の対戦は通常通りで、順位決めのときに「東西」に分けて、プレイオフは東西対決のような考え方もできるので、要はアイディアはいろいろあるので、すぐに答を出さず色々試みてみれば良いと思う。
狭い日本だが、意外と地域格差が大きい。はっきり言って、フランチャイズ球団がない地域は、野球が好きでも「巨人」しか知ることができないファンは多いし、その巨人が嫌いなら裏側として「阪神」が妥当と考えるファンが多い。しかし、そんな概念は非常に薄っぺらいものでることは、札幌の日本ハムと仙台の楽天が証明した。プロ野球を球場で見るということは、そんなに肩肘張ることではなく、もっと気楽に飲みに行くようなもので、それこそ「いきつけの店」に行くような感覚で良く、その気軽さの中から次第にグッズを買ったり応援に参加してみたりで、ファンは醸成される。昨年の開幕早々に仙台に行ってみたが、地元の方々は岩隈や礒部あるいは田尾監督の現役時代を知らない方が多く、唯一駒田コーチが出てくると「おい、駒田がいるよ!」という声が出た。それは、駒田コーチは確かに名球会会員ではあるが、それ以上に「巨人でレギュラーだった」ことが大きい。しかし1年経過してみて、いっぱしの「楽天博士」のようなファンは、たくさん出来たであろう。「○月○日の西武戦での山崎のホームランが…」のように。
人口構成からも、首都圏5球団・関西圏2球団はそのままで良いとして、もっと新たに地方都市に球団を創って行くことが望ましい。それは、既存チームを移転させるよりも、新設球団の方が、その地域のファンの方々に良い刺激を与えると思うし、それこそ最初は弱くてもいい。大事なのは、地方の方々に「今年は巨人来てくれるかな?」ではなく「俺のチーム」という意識で、野球に接してもらうことで、日本全国にもっと野球文化が広まると思う。よって、球団数拡大の選択肢はあっても、減少という選択肢はあり得ないのだ。
もっとも、一番現実的な問題は、既存のNPBを指揮る方々の「マイナス思考」が一番の問題であって、年寄は概して面倒なことを嫌う。新規球団なんて大変だ、ルールを変えるのは面倒だ等。だからその分、地域活性を試みる日本ハムと楽天には、是非頑張って欲しいと願っているし、それが更に「拡大しよう!」という根拠になれば良いと思っている。