2005プロ野球かくあるべし!

22.裏金問題は、アマ側にも問題あり

2005年もドラフト会議が終わり、それぞれの球団に、若き新戦力が加わる。近年は、トレードという活動が、何となく影を潜め、FAによる補強が大きくクローズアップされる一方、球団側も不要な選手に対し「戦力外通告」という形で、大々的に公表するようになり、そのリバウンドで「トライアウト」というテストにより、戦力補強が注目される。しかし、やはりどんな時代であっても、新陳代謝は必要で、腐ってもプロ野球。次の世代を担う、若き才能こそが宝であり、その意味ではドラフト会議による新人選手こそが、長いスパンでの「最大の補強」であると信じたい。ま、補強と言うと、弱点部分を補うという意味合いが強く、即来季への補修のイメージなので、その意味ではドラフトは「補強」ではないかも知れない。

そのドラフトだが、2005年は高校生とそれ以外の2段階に分けて実施し、それ以外では所謂逆指名とか自由枠といった選手が、2名から1名に減員された。理由は、高野連側の強い要望で、高校生の所謂「就職」や「進学」に支障があるため、早目に実施して欲しいことを受けたのと、昨年の一場投手(現楽天)に懸かる「裏金」問題の反省からである。

高野連の主旨は、ごもっとも。むしろ、もっと早くても良いくらいで、極端に言えば夏の甲子園が終了したら即でも良いだろう。もう一つの、逆指名の減員だが、いっそ辞めちまえば良かったと思うが、一応2006年までは同一ルールで行くそうだ。ある評論家の、逆指名の継続について肯定的な意見を読んだ「戦力均衡の面から、良くない制度ではある。しかし、悪法でも法であり、その制度の活用を目指して、本来高校から入団できる選手でも、大学・社会人に進んで頑張り、希望球団に入団を目指している選手にしてみれば、大学や社会人に居る間にルールが変わってしまってはやりきれない。」といった主旨だった。うん、なるほど、確かにその考え方はあると思う。その選手にしてみれば、だったら高校のときにプロに入って置くべきだった、となるであろう。が、しかしだ。それならば、もっと原則論を突き詰めて行けば、大学はプロの逆指名を受けるために、行くところではない。社会人も同じで、本来はその企業の従業員として、働きに行くところである。しかし、現実としては、そのために妙に有望選手が高校からプロに行かず、大学・社会人に進み、結構なレベルになって、盛り上がっている。そこに、問題があると、私は見ている。

例えば大阪を中心とした、関西というところ。大変野球が盛んで、少年時代から甲子園で全国高校野球大会を、比較的容易に生で見られる環境にある。あの華やかな舞台に、野球少年なら絶対に憧れるわけで、何が何でも出場したいと思うようになるのは人情。同時に、彼等が程なく知ることになるのは、全国大会に出場した学校の品定めの大前提である「私立か公立」かということ。例えば四国でも、あの名門の松山商や徳島商などには目もくれず、MT義塾やJS学園に心が奪われて行くし、ましてや地元関西で出場する学校は私立ばかりだ。そこには、地元意識などのカケラもなく、出場できるのあればどの学校でも良く、要は「行ける学校」の選別。強いて言えば、子供らしく「ユニホーム」が好きな高校程度であろう。

続いて、地域の少年野球チームに所属していた子供たちは、夢の実現のためのステップを意識する。まずは、ボーイズリーグへの移籍。軟式野球より、硬式ボールを握った方が、より現実感があるし、何たって指導者には元プロなんてのもいる。そして、有力なボーイズチームには決まって、高校野球の強豪校とのコネクションがあるのだ。それも地元関西だけではなく、東北や北陸・山陰・四国などもある。そして、そのボーイズに入るためには、昔はテストなんかもあったが、今はもう「スカウト」が中心である。かく申す私も、地域の軟式野球チームには所属していたが、この少年時代でドロップアウトしたが、余り挫折感はなく、以後高校までENJOYベースボールの道に進んだりもした。しかし、このスカウト活動だが、たかだか少年野球であっても、かなり活発なご様子で、それなりの目利きが居たりする。近年、大阪ドームの近鉄戦で、時々ボーイズチームを大量に招待していたが、そのときの指導者のみなさん、グランドで展開されるプレイを見ながら、子供たちを指導しているかと思えばとんでもない。子供たちをスタンドに放って置いて、試合開始から終了まで喫煙所で他チームの指導者さんと、情報交換やら人間関係の維持活動に努めていらした。ま、邪魔な存在ではあったが、その内容はまことにリアル。「ウチからP●学園へは、●名しか入れんと言われよーた」「アイツは大○桐○で、特待扱いで行きよる・・」などなど。そして、ボーイズにスカウトされた子は、練習のために1〜2時間くらいかけて通うのはザラで、それも「交通費支給」だったりします。ズバリ書けば、何で少年野球ごときで、そんなにゼニが動くの?そもそも、そのゼニは何処から湧き出るの?ってこと。

循環経路としては、大学・社会人⇒高校⇒ボーイズ、或いは高校⇒ボーイズってことですが、有力選手獲得には、まあアマチュアでもゼニが必要ってことですな。ここまで書けばお判りの通り、その源泉は当然プロ。プロが、大学・社会人あるいは高校から、有力選手を獲得するときには動くんですね。これは、所謂ドラフト1位クラスの選手のみならず、隠し球的な選手を、他球団のマークを外すために、1年間試合に使わせないようアマチュアと結託して、ドラフトになれば下位指名。驚く本人には1000万円の契約金で、アマチュアチームにはン億円の裏金が支払われたりする。よって、潤うのが選手本人もある程度そうだが、所属していたアマチュアチームも潤う。施設や遠征費用など、そりゃアマチュアだってゼニは必要だし、その維持のためにボーイズリーグにも手当てしないと・・・なるほど、ボーイズリーグは、あんだけの施設があるのに、会費が安いわけだということですね。地方の、私立の有力野球強豪高校が、大阪の有力ボーイズに何かと援助して、その見返りに生徒を戴く。そりゃ、地元では評判も悪くなりますよね。スポーツ特待生の生徒って、そりゃ学校では邪魔じゃないでしょう。だって、授業中は寝てるだけですし、先生も黙認。今回急遽甲子園を取り止めた四国のMT義塾なんかは、午後一番の5限目は、上手い具合に「クラブ活動」として、練習開始!私が今住む神奈川の、TI学園という勉強でも有名な学校は、勉強面で多くの有名私立大とコネができたのか、そのあたりは誠にシビア。一般生徒とは隔離して、野球ばかりやらせて、甲子園に出場すれば、東京六大学の有名大学に進学させ、出場出来なかったら、あまり名の通っていない大学にしか推薦しないんですから。同様に、奈良と和歌山にあるCB学園なんかは、1学年特待生のみ10名の入部制限を行い、少数精鋭集団で1年生のときから鍛え上げ、強力な打撃のチームを創り上げる。一般生徒が、入部したいと言ってもダメなんかね?

このような構図は、関西を例に出しましたが、恐らく関東やその他の地域でも、似たような構図になっていると思います。プロとアマの垣根などと言われていますが、何のことは無く、裏側ではしっかりプロがアマを支援しているんですよね。スカウトの仕事は、言わばそのゼニの調整役に過ぎず、特にGなどは選手の力量の見極めができない、バカなスカウトが多くなるわけです。このように、裏金問題を語る上では、一方的に「プロが悪、アマは良」と決め付けてはいけなくて「欲しがるアマチュア」の改善も、絶対に必要ですね。その溝は深いですが・・・私立高校は、ある意味企業と一緒ですから、甲子園出場で全国に宣伝して「ウチの高校に来れば、甲子園で応援できます!」なんてね。近年、女子高だったのが共学に変って、僅か2・3年で甲子園に出るなんて学校、福岡のHC学園・広島のJS館・石川のYG館・愛媛のS美・宮崎のSU学園などですが、いい宣伝ですよ。そのうえ、監督さんなどは「雇われ監督」であって、高校野球の監督が職業なんですからね、もはやアマチュアではないでしょう。だから、今後どんなにドラフト制度を変えても、一場投手同様の裏金問題は起り得るし、それに応じて更に巧妙な手口を考えるのが、残念ながら正解でしょう。だいたい、契約金なんて「支度料」と考えれば100万円程度あればいいし、アマチュアチームには何かと選手を保護しないといけないですが、謝礼としてその1割程度が妥当なんではないでしょうか。そもそも、少年野球にゼニが落ちるなんて・・・あれも地域のスポーツ振興の一つと考えれば、自治体あたりから「奨励費」として、毎月1〜2万円程度の補助でいいんじゃないでしょうか。

これは、近年の話ではなくて、昔から変らない構図です。よって、プロの裏金を廃止するのは、アマチュア野球、特に高校野球の清浄化が必要です。過密日程で選手の健康を害し、余計にゼニが動いて、寮などでは暴力事件が絶えない高校野球。いっそのこと、あんなの辞めちまえばいいと思うし、少なくとも全試合全国中継なんて、辞めればいいと思います。けど、これって少数派だと思うし、難しいんだろけどね。NHKも、あれで潤っているだろうし。それでも「選手は頑張ってるから!」とか、必要悪とかでお茶を濁す話ではない気もしますけどね。ゼニが動くのを、全て否定しているわけではないです。もっと公明正大に、プロも地域密着性を出して、その地域のアマチュアチームに、環境強化を目的に援助することは、決して悪いとは思いませんから。けど、もし甲子園大会廃止が実現したら、一番喜ぶのは、阪神ファンだったりして!?