2005プロ野球かくあるべし!
14.新設球団の迷走
近鉄・オリックスの合併余波か、「セリーグ6・パリーグ5」という方向性に対し、ファン・選手会から真っ向反対されたNPBが、ある意味苦肉の策で捻り出した「新規参入を認める」という話。結果的に、楽天が仙台を本拠地に参入が認められた。しかし、残念ながらライブドアの申請から始まり、楽天の申請表明、さらに仙台を巡るバトルについて、リアルタイムで追っかけていない。と、言うのも、この動きが盛んになっていたのは、昨年ストライキ明け直後の9月20日から25日前後であり、近鉄バファローズ最後の大阪ドーム5連戦の真っ只中で、連日大阪ドームでの観戦、礒部・三輪も参加した、12球団代表との協議・交渉委員会の動きのみに注目していたからである。その後、シーズンも終わり、うわの空でプレイオフや日本シリーズを眺めていたが、ようやく気分的に落ち着いたころに、楽天の参入が決定し、直後に分配ドラフトが行われていた。で、このルールは今回に限った極めてローカルなルールで、当日になってスポーツ新聞社のサイトで確認。随分と、オリックスに有利なようなルールであることは、誰の目にも明らかだった。ただし、大多数の近鉄選手が「オリックスには行きたくない」旨の発言をし、そのレベル感は「絶対嫌だ」「決まっても行かない」「できれば行きたくない」等、個人差もあった。結果的に、主力どころでは礒部・吉岡さらにスッタもんだの末、岩隈がトレードと言う形で楽天へ。この時点での支配下登録選手は40名ほど。その後、合同トライアウトで有望選手を見つけた場合「楽天に優先的に交渉権を与える」との措置がなされ、関川・飯田・酒井・中村さらに山崎などの入団が決まった。そして、ドラフト会議では、色々問題のあった一場投手をはじめ、大学社会人から6名入団。外国人選手も決まり、日向へキャンプ見物に行った時点で、私は「3位以内に入るのは、難しくないのでは?」と感じた。元近鉄選手の力量は、理解していたが、私の目を引いた戦力は「ルイス・ロペス」。この選手は、日本向きでいい起爆剤になる雰囲気がプンプンしていた。また、この時点で一場は「苦しむかな」と思えた。
開幕前、オープン戦を見終えた私の考えるスタメンは、こうだった。
1・セカンド・高須 先発 2・センター・飯田 岩隈・ホッジス・ラス・金田・藤崎・(高村・川尻) 3・ライト・礒部 4・サード・ロペス 中継 5・ファースト・吉岡 吉田・有銘・徳元・福盛・河本・谷中 6・レフト・川口 7・DH・デーモン 抑え 8・ショート・斎藤 小山 9・キャッチャー・藤井 しかし、開幕してみて、チームは機能しなかった。私が期待を寄せたロペスは、目を覆うようなスランプに陥ってしまった。確かに、得点圏打率は非常に高いが、そもそも得点圏というケースが異様に少ない。それとともに、試合中も苛立つ場面が目立ち、なかなか日本の野球にアジャストできなかった。吉岡については、ケガの回復が意外に遅かった気がしたが、かなりの重症であったことと、こちらが過剰に期待した面もあった。全般的に、金田・斎藤・竜太郎・佐竹など、オリックス組が出遅れた感じはあったが、何近鉄組もスタメン出場は多かったが、精彩を欠いていた。むしろ、序盤頑張ったのが、関川・中村・酒井などのトライアウト組。先発投手陣は、これを「崩壊」と言わずして、何を崩壊というのかという感じで、ホッジス・ラスは安定感を欠き、頼みの岩隈が開幕2連勝したものの、全く勝てない状態に陥ったのが大きく響いた。礒部は、17打席ノーヒットであったが、徐々に感触を掴み、本拠地開幕戦を機に打棒が復活。近鉄組では、若手はともかく、益田・鷹野・星野らが出遅れてしまった。
そんな中、意外と言っては失礼だが、成果を挙げていたのが高須。元来、速球投手に強く、センスの良い選手だが、近鉄では今ひとつ力量を発揮できなかったが、開幕から絶好調であった。近鉄・オリックス組の出遅れは、ズバリ秋季練習不足。他球団が、精力的にキャンプなど行っている中、分配ドラフトまでの長期間、それぞれ藤井寺・GS神戸で「軽く汗を流す程度の」練習に終始していた。確かに、不安で気持が乗らないのも事実だが、それが影響してしまったのもまた、事実である。オリックスバファローズも、開幕から乗れないのは同じ理由だと思う。4月までにチームは11連敗を含め、トータル6勝しかできず、コーチ陣の「人事異動」なども行われたりもした。
5月5日の千葉でのロッテ戦で、ベテラン金田が絶好調のロッテを封じ込めて完投勝利を挙げた。この試合を観る限りでは、チーム状態が上向きになっていることが、よく判った。そして交流戦に突入。しかし、初対面の相手にことごとく敗れ、借金地獄は深まった。しかし、5月24日からのナゴヤドームでの中日戦で3連勝したころから、チームは明らかに上向きになって行った。神宮でヤクルトに勝ち越し、地元で広島と接戦の末連勝するなど、チームとして機能し始めた。このころから高須が戦列を離れたが、前田とトレードで阪神からきた沖原の獲得が大きかった。
交流戦が終わり、再びリーグに戻ると、チームに粘りが出てきた。特に、6月25日からの長野での西武戦で、大打撃戦の末連勝。そして、7月2日の仙台での日本ハム戦では、3点差を追う最終回に、連打で逆転サヨナラ勝ちするなど、すっかり他球団と遜色ない戦いができるようになった。確かに楽天は、平均年齢が高く、ピークを過ぎた選手が多い。しかし、礒部・吉岡などレギュラー選手は、他球団でも十分できる選手であるし、経験値の高い選手のココ一番で見せる活躍は見事。サヨナラヒットの大島や、ホームランを量産する山崎などはまさにそれ。要は、序盤戦は力量があっても、チームとして機能していなかったが、最大の原因であり、それが機能し始めたのであるから、現在の結果はある程度当然かもしれない。
しかし、後半戦に向けて、少しでも巻き返すための課題は盛りだくさんである。まず、先発投手が揃っていない状況には変化はない。岩隈がようやく安定し始め、今後は大丈夫だと思うが、もう一枚軸が欲しい。金田は今後も大いに期待できるが、夏場はある程度登板間隔が必要。そこで、朝井・一場あたりに一本立ちして欲しいのだが、その可能性は、朝井のほうがありそうだ。あとは、高村の復活を期待したのだが、ちょっと昔のようには行かないかも知れない。また野手陣では、藤井がどうやら正捕手に固定されるまで来たが、打撃陣で礒部・吉岡とともに、向こう何年間主軸を期待できる選手が欲しいが、それはやはりロペスになる可能性が高い。ロペスは、下位打線でも良いから、使い続けて欲しい。また活きの良い野手が、内外野それぞれ1名は欲しいが、如何なものか・・・内野では、新人の大廣が有力だが、山下の躍進も良い。外野では、牧田に私は期待したいが、もちろん森谷もメゲズにチャンスを掴んで欲しいものである。
悪条件でのスタートや、時間のない中でのチーム運営で、厳しい前半戦となってしまった。しかし、後半戦は少しでも巻き返すことが、来季へ繋がると思う。今季は、最下位で収まる可能性が高いと思うが、これから、選手生命を賭けたベテランたちのサバイバルが始まるし、若手もそのベテランの迫力に負けずに、チャンスを掴む。後半戦のキーワードは「チーム内競争」であり、そのエネルギーをチームの勝利へ向かせるのは、首脳陣の腕の見せ所である。そんなところにも、楽天イーグルスを楽しめる要素はたくさんある。
かような次第に、新規参入球団に「不利」な前例を創ってしまったのは事実である。NPBは、今後もし新規参入を認めた場合でも、同じような扱いにするのだろうか。端的に言えば「新参者は、下足番から始めろ!」のような、封建社会同様な扱いを・・・しかも楽天のケースは単なる新規参入ではなく、1球団消滅した前提での参入であるから、プロ野球全体の規模は変化していないのに、不公平な扱いを受けるなど、どうも古臭い体質がある。こんなところから見ても、エクスパンションなどは、遠い話のように思えてしまう。