2005プロ野球かくあるべし!

.「GM」を中心とした球団経営

新設球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」の浮沈のカギを握るのは誰か?エースの岩隈か、選手会長の礒部か、いやいや新任監督の田尾監督か?答えは全てNO!いやもちろん、彼等も重要ではあるが、球団全体に於いては、一部分でしかない。それは、監督も一緒で、文字通り選手同様の「請負契約」に基づく「現場監督」でしかないのだ。では誰かといえば、マーティー・キーナートGMとなる。特に楽天の場合は、三木谷オーナーも言葉の端々から「その点は全てGMの判断に任せている」というニュアンスが伺える。そんな楽天、素人から見れば「失敗する」「素人集団」「すぐ辞めちゃう」という声が後を断たないが、私は非常に興味深く見ている。それはまさに、キーナートGMの一挙手一投足に注目していることに、他ならない。

GMという制度、メジャーリーグでは当然のように行われているが、日本では何度か試みているが失敗している。まず1995年の千葉ロッテで、広岡達郎氏を就任させたが、ボビー・バレンタイン監督と激しく衝突。要は、選手育成や采配に自分の考えを広岡氏が持ち込み、現場に介入し過ぎたことでバレンタイン監督が激怒。おまけに、如何にもバレンタイン監督が悪いような記事をNumberに書かせたことで、広岡氏は翌年失墜した。また、現在でもオリックスが中村勝広氏をGMとしているが、その器ではないような気がする。合併球団残留を拒否する岩隈を説得しきれず、最後は球団社長にお任せし、交渉経過を話す上で「私だって、辛いんです」と言ってしまう時点で、この方の能力の限界である。いや、GMより社長の方が偉いから・・と言われそうだが、私はGMがしっかりしていれば、球団社長とか球団代表などという職は、いらないと考える。確かに、中には立派な方もいるかと思うが、例えば西武・ダイエーの坂井氏などは良さそうに見えるが、これも「根本陸夫」という、日本で唯一成功したGMが居ればこその話である。例えば消滅した近鉄でも、歴代の社長・代表などは、監督も経験した岡本伊三美氏を除いては、本社から来たスットコドッコイみたいな奴ばかりだった。誤解されるといけないが、人間的に立派な方も多かったと思うが、こと野球に関しては素人であるし、度胸のない奴ばかりだったと言いたいのだ。よって近鉄に限らず、どの球団でも本社から来た奴等を、選手は尊敬どころか上司などと間違っても思っていない。場合によっては、名前も顔も知らないくらい見下していたであろう。また、こんな素人でも、マスコミから取材を受けたりするもんだからつい錯覚してしまい、監督の采配や、選手の力量まで評論したりして、それが新聞記事なったりする、変な構造がある。

根本さんは、西武時代は「管理部長」、ダイエーでは専務から社長になったが、肩書はともかく、職務はまさにGMであった。要はGMとは何かといえば、監督の人選から、選手の獲得、営業・広報、予算管理に至るまで、球団経営に於いて全てを統括する職務であり、範囲はなく冷静な判断と責任を求められるのだ。つまりは、オーナー直属である必要があり、オーナーの言葉を伝えるだけの、社長・代表は要らない。更に言えば、12球団やリーグの「代表者会議」なども、何も決定できないから要らない。むしろ必要なのは、GM同士の横の連絡会議である。そしてGMは、選手たちから尊敬され、今の時代ならファンにも周知されている必要がある。

よって、選手OBが望ましいが、OBでなくてもキーナート氏のように、野球に精通している方でもOKである。キーナート氏は、アメリカ人特有の陽気で前向きな姿勢が、選手やファンにとても良い印象を与えていると思う。新生ソフトバンクは、王監督をGM兼務としているが、果たしてどうか?GMと監督は、相反する関係にあると思うので、上手く機能はしないと思うが、もっとも孫オーナーは別の狙いがありそうだ。現在のホークスは、実力・人気の面で安定しているので、早急な改革は必要ない。むしろ王監督が退任後、すんなりGMに就いて貰うことで、更に磐石な体制を築こうとしているし、王監督には「後継監督を創ってください」ということであろう。また日本ハムが、高田繁氏をGMに就任させたが、果たしてこれはどうか?確かに以前は監督もしていたが、相当昔の話であるし、今は本拠地も違えばファン層も違う。恐らく、大社オーナーの存念であると思うが、高田氏が謙虚に動けば成功の可能性もある。オリックスの中村氏は前述の通り、お辞めになった方が良い。オリックスと言えば、以前監督をしていた上田利治氏が、監督退任後即球団編成を担当していたが、長続きせず辞めさせてしまった。全くもって、この球団は有能な人材をすぐにクビにしてしまうが、無能な者をずっと抱えている、全く不思議な球団である。

私は常々思うことに、近鉄球団を犠牲にしたプロ野球は、良い方向に進んで欲しいと願っている。その一つの手法に、このGM制度の定着化を挙げたいし、今がそのチャンスなのだ。その試金石になるのが、楽天のキーナート氏だと思う。野球に精通し、公明正大に動けるGMは、選手たちからも信頼され、ファンにもアピールできる。確かに楽天も、球団社長・代表を設置しているが、あくまで「便宜上」の話であり、実質的に彼等もキーナート氏の手足でしかない。楽天球団の企画は、全てキーナートGMが決め、三木谷オーナーの了解を得て、即実行する体制が敷かれているように思う。それが、これからのと言うか、本来有るべきプロ野球のシンプルな姿として定着して行けば、面白いプロ野球が展開されるように思う。あの、人気がなかった近鉄バファローズですら、フロントはロクな工夫もせず、ファンとしては選手を見ることだけしかなく、球団が主催するイベントなど、全く期待していなかった。けど、これは凄く寂しいことであった。

マーティー・キーナート氏がいつも言う「ワタシタチノ、ミヤギキュウジョウニ、ゼヒキテクダサ〜イ!ゼ〜ッタイ、オモシロイデスヨ!」と、明るい笑顔でアプローチされ、2005年私を含め、多くの元近鉄ファンは仙台に1度は足を運ぶと思われる。まあコアな近鉄ファンは、当然私も含め偏屈だから、素直に認めないかも知れないが、認めざるを得ないことになれば、悔しさも出るであろう。「何で、近鉄はできへんかったのやろ?」。しかしそれは、新しいプロ野球の新機軸になって欲しいものである。頑張れ楽天!そんなスタンスで、数年はイーグルスを見て行きたいと思う。