野球の話(バファローズの話)

近鉄消滅とオリックス・楽天の2年目

近鉄バファローズファンだった方々は、2005年様々な形で、プロ野球と接して来られていたと思いますが、感触として、全くもう野球難民ではなく、100%次の球団にスッキリと移行した方は、かなりの少数派だと思います。もっとも、本人は別にスッキリしてても、周囲の配慮から「辛いね」と合せていた人も居るかも知れませんが、そこは近鉄バファローズへの接し方の違いが出たと思います。で、一番多かったケースは、55年の歴史の中でたまたま最後に所属していた選手の多くが移籍した、オリックスと楽天の両方を、何となく応援しつつも、両者の対決が辛かったりで、どちらに決めるでもなくの状態の方が一番多かったと思います。その裏返しで、両方とも嫌いという方も、結構居たのではないでしょうか。

かく申す私も、散々サイトでオリックスの運営は好まないと書き、またセントラルリーグのヤクルトスワローズあたりを、応援でもしようかなと思いつつ、その動機付けは、かなり貧弱であります。よって、何だかんだでシーズンが始まれば、楽天とオリックスの選手を応援するんじゃないかな?と感じています。ま、それでも、今の段階からあれこれ「こうしよう!」と決め付けず、自然な成り行きに任せたいなと思いますね。

オリックスも楽天も、2005年は本当に不本意だったと思います。よくシーズン前は、選手個々の数字などを中心に、力はどの程度だろうか?ということを予測する人が圧倒的ですが、私のシーズン前の予想は、オリックスは3位で、結構ソフトバンクに肉薄するのではないか?ということでしたが、結果的に4位で、よもや負け越すとはというのが実感でした。一方楽天は、最下位予想ではありましたが、これほどまで負けるのは予想外。特に、徐々に上向きになっていたのに、夏場になったら逆戻りと、負け方としては最悪でした。

2005年の両チームに共通して言えるのが、選手の構成が著しく変ったこと。これは、いくら有能な選手が居ても、野球という団体競技に於いては、非常にマイナスの要素です。何が?という具体的な記述はできませんが、チームというのは、試合や練習はもちろん、それこそ移動や共同生活などを通じて、目に見えない部分の「阿吽の呼吸」とでも言いましょうか、その部分が醸成されるものであって、ある一定レベルまで行けば機能するのですが、昨年は両チームともそこまで至らなかったです。楽天は、それこそ「寄せ集め」と揶揄されましたし、オリックスだって劇的に構成は変ったんですよね。それと、旧球団の最後のオフは、選手も気もそぞろでロクな秋季練習もしていなかったから、それがシーズンに大きく響き、近鉄・オリックス出身選手の2005年は、概ね不調でした。だから、思ったほど勝てなかったと思います。それでも、オリックスの方が上位だったのは、理由は2つあり、@本拠地の移転がなかったこと A監督の力量の差 がありました。言われる「分配ドラフト」の差別は、それほど大きかったとは思いません。オリックスにしてみれば、軸になるエースの岩隈が抜けたのは大きかったと思いますし、礒部・吉岡などもオリックス入り拒否もあって、思ったほど戦力強化にならなかったと思います。一番大きかったのは、やはり本拠地。オリックスが、今まで使っていた球場であるのに対し、楽天の仙台は、野外球場であって、春先のナイターの寒さは厳しかったと思いますし、夏場は意外に暑かったりして、本当にコンディショニングに苦労したと思います。これらの気候は、もちろんこれからも続くのですが、予想できずに対処できなかったのがいけないのであって、2年目からは十分予想できますから対処できるでしょう。また、監督の力量については、これはもう比較のしようがなかったです。期せずして、2年目からこの両チームの監督が代わります。今度は、楽天の方が、力量的にはずっと上の方が監督になりますが、いずれにせよ、その部分では両チームともゼロからの出発で、またまた時間を要することになると思います。

オリックスですが、大幅な戦力補強をしました。もっとも、これが戦力か否かは意見の分かれるところでしょうが、基本的に観客動員、それも「正味」の入場料収入の改善を目指す意味も強いかなと思います。その対象は、もちろん清原であって、それこそ清原が出るなら見に行こうかなという層が多いと判断し、それを取り込むことが主たる目的だと思います。その場合でも、いつまでも清原が居るわけではないので、新たなファンを創るために何をするか?という点は注目なのですが、果たしてどんな施策を打つか。一方の中村紀洋は、決して客寄せでにはならないと思います。もちろん、多少はプラスに作用すると思いますが、清原程の真新しさはないですから。しかし、私自身ノリに少々不安があります。ご存知の通り、2003年に大怪我をして、それが直った2004年でしたが極度の不振。更に、環境が変わったとはいえ、3Aクラスであの程度しか打てなかったことに、ちょっと疑念が湧くんです。年齢32歳で、一般の選手であれば、まだまだ働き盛りなのですが、そこは個人差がある世界です。例えば、1年間棒に振った楽天吉岡が、鮮やかに復活を遂げたのを見て、負傷した部位は違いますが、吉岡とノリのリハビリに違いがあったのでは?と思わざるを得ないんですね。吉岡は、それこそじっくりと我慢して、万全の状態になってから復帰したのですが、ノリは何か横着していないか、もしかしたら完治していないのかと疑っているんです。そもそも、身体能力では吉岡の方が上ですので、ノリはもっと慎重にすべきではなかったか、そのあたりが注目です。オリックスは、野手の層は非常に厚くなり、これは12球団で比較しても、トップレベルだと思います。確かに過剰気味で、過ぎたるな尚及ばざるが如しと言いますが、それでも巨人のように、今後も恒常的に過剰補強することは考え難いので、あくまで一時的な話だと思います。しかし、岩隈が欠けてもパウエルが居たので、どうにか軸はしっかりしていた投手陣ですが、そのパウエルが抜けたのは大きいです。確かに、セラフィニなどを獲得しましたが、昨年は勝ちましたが、2桁勝てるレベルではありませんし、既存の吉井・川越・本柳・光原なども同様ですし、新人や若手に期待するにも不確定要素が強いです。ここのところ、投手と野手のバランスが良いチームが優勝していますのが、その点で今年のオリックスは、極めてアンバランスなチームが出来上がりました。そして、指揮官中村監督ですが、案外短気で我を忘れる方という評判ですが、選手起用特に野手に対する配慮はかなり難しいですし、軽く見られてしまう監督ですから、その辺りが厳しそうです。よって、攻撃重視型の戦いを強いられますが、プラスの要素がないわけでもなく、ガルシア・ブランボーの両外人は、昨年の成績はそこそこで、慣れた2年目に爆発する可能性はあると思います。非常に、不安定で読み難いと思いますが、例えば攻撃を全面に打ち出して3位以内に入って、プレイオフの時に打撃が好調であれば、優勝の可能性はあると思います。

楽天は、今後はオーソドックスな闘いをすると思います。また、戦力の入れ替えは、今後も暫く続くでしょう。何と言っても、野村監督の思惑を中心に、チーム内はもちろん、フロントを含めて改革と言うよりは、元々何もない球団ですので基礎固めされると思います。野村さんと言えば「奇策」を用いるという印象ですが、案外どころか極めてオーソドックスなスタイルで、確率の高い方法を選択する方です。よって意外性の部分は期待できませんが、かなり高い確率で、強いチームに仕立てると思います。その効果が出るのは、もしかしたら野村さんの契約期間の3年を超えた後かも知れませんが、安定した強いチームになって行く姿を追いたければ、このチームを応援するのも良いかと思います。選手については、要はその強いチームになるための構成要素として、セレクトされれば残りますし、セレクトされなければ残れない。誰が居るからとかではなく、野村さんの構想に適合するかどうかの選択が、今年はされると思います。よって、順位とかは判りませんが、勝敗よりも見極めが中心になるでしょうから、十分最下位の可能性だってあります。こう書くと、三拍子揃っていて隙のない選手が好まれるかという印象かも知れませんが、決してそうではなく、例えば2005年に主に4番を打った山崎。守備や足は丸っきりダメでも、例えば打席で1発長打だけではなく、状況判断良く右打ちなどもしていましたので、そういう部分では「使える」ということになります。逆に、三拍子揃っていても、高須のように身勝手なプレイや、状況音痴は困る。その意味では、吉岡なんかは自分の役割が判っているので、十分な中心選手なのですが、礒部はそろそろスタイルを確立する時期だと思います。若手だろうがベテランだろうが、各場面で如何に有効な仕事ができたか、或いはしようとしたかが評価の対象になると思いますので、今までとはガラッと変った姿が見られると思います。野村さんは、阪神の監督時代にその意識改革に、かなり苦労されたそうで、要は長年負け犬根性で勝っても負けても関係ないや的な風土の払拭は一筋縄では行かなかったそうです。楽天の場合、確かに昨年は大負けしましたが、決して腐っているわけではなく、余りに環境の劇的な変化に対応できなく、選手としてはむしろ「勝ちたい」意識は強いので、その部分では野村さんも改革し易いと思います。阪神の時のように、新庄などをあやしたりすた方法ではなく、かなり厳しくやっても大丈夫だと思います。確かに、投手の枚数は闘う上で少なく岩隈だけだったのが昨年で、その岩隈も昨年のようなことはないでしょう。あとは確かに一場という投手はいい投手ですから、岩隈に次ぐ柱にはなるでしょう。あとは、セドリックなどはローテーションでは廻せると思いますが、多くは望めないですし、台湾から来た林も、2年目からだと思います。朝井・有銘他新人も期待がありますが、とにもかくにも一場が一本立ちすることが先決でしょう。ただ、このチームには立花コーチという、その道の権化が私には大きな戦力だと思います。この人の力は、劇的に投手陣を変化させるくらいのものがありますから、大いに楽しみだと思います。

チームの置かれた状況は、オリックスはある意味待ったなし。阪神タイガースのほぼ寡占状態にある関西で、その存在意義を示すのは厳しい状況です。関西の野球ファンは、目は肥えているし、比較的厳しい評価もします。よって、オリックスは意味のある野球や、それこそ阪神と比較して実力のある野球で証明しないといけない。近年の阪神は、それこそ結果も出しているわけで、それが観客動員にも結びついています。余程頑張らないと、存在意義がなくなってしまう。人口の多い関西だから、単純に複数球団でもOKではありません。実際、最近の阪神は良い野球はしています。よって、個人能力の高い野手によって、ある意味「馬なり」の闘いを強いられますが、果たしてどうか。それが上手くはまれば良いのですが、ちょっと私は厳しい見方をしています。清原を筆頭に、話題先行で闘わざるを得ない2006年ではありますが、その裏側で次世代を中心とした、新たなチーム造りに着手しないといけないと思います。楽天は、地元ファンから市民権は得ていますし、1年目ですが最悪の成績で、これ以上悪くなることもないでしょうし、少しづつ上昇して行けば良いと思います。よって、数年の有余がある環境ですので、野村さんを監督にする選択は正しいと思います。野村さんは、現有戦力に合せた闘い、つまりは「馬なり」はしません。一つの方針がしっかりしていて、その確率の高い闘いができるようになるまで、数年を要しますし、逆にそこまで行けば、長期的に安定したチームとなります。東北のファンも方々も、最初の頃は負けてもいいと寛容ですが、数年先には強くなって欲しいと思っていますので、そのニーズには合っていると思います。

また、この両チームは、フロントは非常に評判も良くなく、マスコミには格好の餌食になってしまっています。そこらが、近鉄ファンだった方にも不評で、イメージも悪い。私自身は、方向性は判りませんが、それなりに努力していると思いますが、それが実を結ばないのはやはり、ファンに解り難いからだと思います。とりわけ両オーナーとも、頭は良いのですが、ずる賢こそうで何となく受けが悪い。私は野球界は、もっと球団数を増やして欲しいと思っていますが、感触として大多数の野球ファンは、2リーグ12球団の「維持」を期待しているように思えます。要は、増やす必要もない、今のままでいい「変化」を嫌っているのではないか?と思っています。宮内さんは、球団数の増減はともかく、巨人なりと恒常的に試合をしないと、収益が見込めないと考えています。三木谷さんは、もっとエクスパンションをしても良く、そのためにリーグ編成を変化させてもと考えています。私自身は、それはそれで、一つの考え方であると思いますが、何せ近鉄バファローズのフロントは、何も考えていなかったので、こうしてオーナーが発言する様子に違和感の方が強かったりします。オーナーなんて、野球を知らないとか、ちょっとした発言が、変な方向に報道され、大多数のファンが煽動されてしまうので、たまったものではないでしょう。

仮に、オリックスは嫌い、楽天は嫌い、と言いながらも、近鉄ファンとしては多くの選手が移籍した両球団を、視界から外すことは難しいと思います。もちろん、年数が経過して行けば、近鉄出身の選手も移籍や引退も増えて行くでしょうし、その系譜は薄れて行きますが、いま暫くはその姿は失われないでしょう。とは言え、このオフには高村・小池・岡本のように、近鉄バファローズで実績のあった選手の末路としては、少々寂しい印象はありました。しかし、恨むべくは近鉄であって、選手を受け入れたオリックスや楽天を恨むものではないです。理由の如何を問わず、全選手「移籍」であったわけですから、過去の実績は考慮されないのは、選手自身が一番良く知ってのことですし、年齢や年俸が高い選手が、それに見合わなければ戦力外になるのは当然です。例えば高村などは、近鉄では生抜きで、開幕投手なども経験しているから、戦力外にするにしても、十分に配慮して花道を創ってやるのが筋ではないかというのは、あくまで近鉄であればの話です。近鉄の「経営放棄」は、様々なところで波紋を呼び、現存する球団に対しても迷惑をかけていると思います。55年間、それはそれで頑張ってきたと思いますが、ああいう形で去ったことの罪は、いつまでも償うべきでしょう。