野球の話(バファローズの話)

近鉄バファローズ(仮想)交流戦

ちょっと今回は仮想の話で、仮に近鉄バファローズが存続していれば、こんな交流戦は如何?という視点で書いて見ました。

2005年から始まった、「パ・セ交流戦」も2年目を迎えた。1年目は、初めてということもあって、大いに盛り上がり、反響も大きかったのだが、勝負は2年目から。そして、2年目を迎えた2005年は、ここ阪神甲子園球場で「阪神タイガースVS大阪近鉄バファローズ」の対戦から始まる。前年、ロッテに敗れたとはいえ、リーグ優勝した阪神は、2006年も快調に飛ばして、2位ヤクルトに4ゲーム差の首位。一方近鉄は、混戦のパリーグにあって現在4位ではあるが、首位ソフトバンクに3ゲーム差につけている。ゴールデンウィーク明けの夕日が美しい甲子園は、真夏を思わせるようなスタンドの熱気に包まれている。先発投手は、阪神井川・近鉄岩隈の両エースの先発で、スターティングメンバーは以下の通り。

近鉄 阪神
8 大村 8 赤星
4 水口 6 鳥谷
7 ローズ 3 シーツ
5 中村 7 金本
3 吉岡 5 今岡
9 大西 9 桧山
6 阿部 2 矢野
2 藤井 4 藤本
1 岩隈 1 井川

スタンドは、この時間では8分の入りだが、レフトスタンドに陣取る近鉄ファンは、概ね1000人程で、3塁側内野席にポツポツと。あとは全て阪神ファンと言っても過言ではない状態。さあ、試合開始!まず阪神の選手が守備につくが、昨年同様昭和50年代に着用した黄色を基調としたユニホームで登場。そして、近鉄バファローズの先頭打者大村が打席に入るが、そのユニホームは、西本監督時代から長年親しまれた、所謂「赤袖三色ユニホーム」。大村も、入団から3年間着用したユニホームである。試合に先立ち、何故か大阪府知事の始球式。そして、府知事は阪神タイガースのユニホーム姿で登場した。プレイボールがかかり、府知事のヤマナリのボールを、大村が新庄のように打ち返したが、鋭いライナーが府知事を直撃してしまう。その場で蹲る府知事を、井川が心配そうに見ているが、当の大村は「当ってもうたんは、しゃーないやんけ」という表情。担架で運ばれる府知事に、場内はざわめくが、何故かレフトスタンドはほくそ笑んでいる。その勢いか、大村は井川の初球のストレートを真直ぐ打ち返し、左中間を割るスタンディングダブル!まず近鉄がチャンスを掴んだ。続く水口は、井川を執拗に揺さぶる。バントの場面だが、簡単にやって来ないのが真骨頂。1-3からの5球目を、きっちり転がして大村は3塁へ。続くローズは、2年間巨人に在籍したが古巣近鉄へ。どこかノビノビとして、ここまでパリーグのホームラン・打点のトップをひた走る状態。しかし、井川が少し立ち直り、ローズはやや差し込まれ気味のレフトフライ。しかし、大村は判断良くタッチアップして、近鉄が先制点を奪った。

1回裏の阪神の攻撃だが、岩隈が立ち上がりに苦しむ。出してはいけない赤星を四球で出し、鳥谷の3球目に盗塁成功。ライトスタンドから、喧しいくらいのメガホンの音が鳴る。鳥谷を討ち取った岩隈だが、続くシーツの初球を簡単に真中に投げ、左中間を割られ同点。悪いことに、3塁まで行かせてしまった。そして、4番金本に対し、藤井が慎重にリードするが、センターに打ち上げられ、逆転を許してしまった。このとき、レフトスタンドの近鉄応援席で、黄色いものを持ち出して騒ぐ3名がいたが、程なく取り押さえられ、警備員に連れて行かれた。

2回以降は、岩隈・井川とも立ち直り、両軍ともチャンスを創れない。動き出したのは、5回表の近鉄。この回先頭の阿、部が、井川のカーブを巧くすくい、レフト線を抜く2塁打で出塁。続く藤井は、13球粘った挙句四球を選び、無死1・2塁のチャンスだが、打席には投手の岩隈。岩隈は最初からバントの構えだが、阪神の思い切った前進守備の前に、思うようにバントができない。そこで、今年から3塁コーチャーになった大石コーチが、岩隈に耳打ち。続く場面で、阿部・藤井がスタート。岩隈は、何とか井川の荒れ球にバットを当て、走者を進めた。続く大村が、井川のカーブを自信を持って見送ったがストライクの判定。仏頂面で抗議するが三振。チャンスが潰えたかに見えたが、水口が綺麗に1・2塁間を抜き同点。当たりが良かったので、藤井はホームインできなかった。続く6回、先頭の中村が井川のストレートを、ドンピシャリのタイミングで捕えるフルスイングで、打球は近鉄ファンの待つ、レフトスタンド中段に突き刺さった。まさに「驚弾炸裂」で、近鉄が逆転に成功した。このあと、吉岡と大西に連続ヒットが出るが、後続なく1点止まり。

7回、阪神は2番手ウィリアムスを投入するが、近鉄も大村に代えて代打は鷹野。しかし、あえなく三振でこの回三者凡退。すっかり満員のスタンドが、ラッキーセブンの風船で埋まった阪神の攻撃。そのスタンドの勢いに押されたか、岩隈がついに捕まる。先頭の桧山が、快心のライト前、続く矢野も巧くおっつけてライト前で1・3塁のピンチ。藤本は討ち取ったが、ウィリアムスのところで代打葛城。岩隈と藤井は、入念に打ち合わせをしているが、その輪にまず阿部が加わり、続いて中村が藤井のところへ行きアドバイス。更に吉岡が岩隈に一声掛け、最後は水口が全体を締めてプレイ再開。しかし、阪神の大応援に葛城は応え、右中間を割り、1塁ランナーの矢野まで一気にホームを落とし入れて、阪神が4−3で逆転した。

8回の、阪神のマウンドには藤川。中村との力勝負は、フルカウントまで行ったが、中村のバットが空を切り、最後は藤川に軍配が上がった。続く吉岡に代わって、代打は礒部。藤川のストレートにヤマを張って、綺麗なセンター前で出塁し、続く大西に代打は川口。藤川のフォークにタイミングが合っていなかったが、ストレートには何とかついて行っている。そして、藤川のインコースのストレートに川口のバットが一閃。打球は、物凄いライナーとなって、ライトスタンド最前列に突き刺さり、再び近鉄が5−4と逆点となった。しかし、阪神も粘る。8回から近鉄は2番手岡本が登板するが、先頭のシーツを歩かせてしまう。梨田監督は、ここが勝負と判断し、金本に対して吉田と投入する。この場面こそが、この試合の行方を左右する、最重要場面であることは、近鉄ファンは皆判っているが、阪神ファンは相変わらず能天気に騒ぐだけである。吉田の渾身のインコースのストレートを、金本も全力スイングでファールする。また、アウトコースへの切れのあるスライダーも、ボールを良く見極める金本。「心・技・体」全てが凝縮された、手に汗握る対戦。決着は、意外な形でつく。吉田の15球目のストレートが、金本の胸元を直撃しデッドボール。同時に、吉田は「危険球退場」となったが、梨田監督がこれには珍しく激怒。当然、阪神ファンは梨田監督を罵るが、その激しさから、むしろ吉田の方が監督を止めに行くくらいで、近鉄ファンも唖然としていた。急遽登板となった愛敬は、今岡に対してスライダーで勝負して三振を奪う。続く桧山のところで、小池投入。ここで阪神は、代打に濱中を起用する。耳を劈く、阪神のチャンステーマ。その初球だった。不用意に、真中に入ったボールを、濱中が見逃すはずもなく、近鉄ファンのいるレフトスタンドに、一直線で飛び込んできた。代わった吉川は後続を抑えたが、阪神のリードで7−5、万事休すか。

最終回、吉川には当然代打の益田。益田は、阪神の守護神久保田のボールを見極め、四球を選び代走は高須。大村の代打鷹野に代わって守備についた下山に代わって、代打は星野。しかし、星野と続く水口はあえなく凡退し2死になるが、高須が盗塁に成功。打席はローズを迎え、阪神ベンチの動きが慌しくなる。ローズと勝負するか?岡田監督は、かなり面白い表情で、マウンドに向かって「勝負や!」と言っている。スタンドは、本当に喧しいくらいに、こちらのチャンス4が掻き消されてしまうくらいの「あと一人」コール。しかし、このコールが悲鳴に変わる。久保田のストレートを捕えたローズの打球は、ラインドライブを描きながら、綺麗な弾道のまま、阪神ファンだらけのライトスタンドに吸い込まれて行った。7−7の同点!マウンドで、やや脱力気味の久保田だが、この状態でも気を引き締め、中村と相対そうとするが、そんな久保田が水を差される。このローズのホームランで、阪神ファンから大量のメガホンや飲食物が投げ込まれ、試合が一時中断してしまう。大量の係員が出て片付けるが、あろうことか、その係員に向かって更に物を投げ込む阪神ファン。中村は、ネクストサークルで礒部と談笑しているが、久保田はマウンドで孤独な状態。7分後に、ようやくプレイ再開となるが、もはや集中力が切れてしまった久保田は、気の毒なくらいにボールが荒れ、中村を歩かせてしまう。続く礒部のところで、阪神は窮余の策で左のサイドハンド吉野を投入する。それを見て、梨田監督は待ってましたとばかりに手を打って、代打を告げる。レフトスタンドの近鉄ファンから、歓声が聞こえてきた。「#46」北川の登場である。代打を告げられた礒部は、北川に何やら話し掛けるが、北川も笑顔で応える。そう、これが近鉄のペースだ。関西対決で雌雄を決するこのカード。どっちが「大阪」なのか、はっきりさせる場面がきた。日本大学の先輩後輩対決は、完全に先輩のペースで、こんな場面で投げる程に吉野には余裕がなかった。北川は、注文どおりにインコース高目をレフトポール際に運び、近鉄がまたまた逆転で9−7。満面の笑みで、ベースを廻る北川は、大石コーチとがっちり握手。3塁ベンチでは、かなり手荒い祝福を受け、最後はレフトスタンドに向かって手を上げた。勝負ありの場面であるが、こうなると、最終回に投げる福盛と、守備が心配になる。代打の北川はファーストに入り、川口がライトに。また、代打の星野のところに投手福盛を入れ、ローズをセンターに廻して、ナント高須をレフトに入れた。半ば、心配になって高須を野次る近鉄ファンだが、阪神ファンは「高須が内野手ということを」知らない。

最終回。福盛は、代打スペンサーを三振に取り、出してはいけない赤星をレフトフライに討ち取るが、何とか高須がキャッチし、ホッと胸を撫で下ろす近鉄ファン。さあ、あと一人。福盛は得意のシュートの連投で、ツーナッシングまで鳥谷を追い込むが、3球目が高目にスッポ抜け、鳥谷は巧く左に追っつけ、高々とフライがレフトへ。そしてそれを追うのが高須だが、打球はその上を超え、レフトポールのギリギリに入った。これで9−8と1点差となり、微妙にまだ判らない状態となった。そして、シーツも福盛を完璧に捕え、今度は左中間に飛んできた。すわっ、同点ホームランかと思ったが、打球はフェンスを直撃して2塁打。そして、迎えるは金本である。もう投げる投手がいないが、登録ではあとは明日の先発予定のパウエルと高村がいるが、まさか、高村で行くのか?そして、梨田監督が意を決したようにベンチを出て、審判に交代を告げた。喧しい阪神ファンのため、場内アナウンスは聞こえず、近鉄ファンは一様にスコアボードに注目する。そして、福盛のところが「高村」と表示された。コールはされたが、高村がなかなか出て来ない。ようやく出てきた高村だが、表情からも緊張が伺える。5球の投球練習中、4球が高目に大きく外れ、近鉄ファンの不安を誘う。プレイ再開、1球目はアウトハイに外れ、2球目は今度は大きく高目に浮いた。そして3球目は、ワンバウンドしカウント0−3。近鉄ファンの間では「もうえぇ、歩かせ歩かせ」と。しかし、次のボールがど真ん中に入り、金本は驚いたように見逃す。そして5球目が、真中ややインコースにチョロッと曲がり、金本が完璧にボールを捕え、ライトポールに向かって行く。スタンドは大歓声となるが、1塁審の判定は「ファール」。打った金本は、かなり不満気だが、表情には余裕が見える。岡田監督は、すぐにベンチを飛び出したが、あまり詰め寄らずに、金本のペースを重視した。スタンドはブーイングだったが、金本が再び打席に入ったときには、応援が再開された。近鉄ファンの「タッカ ムラ〜」コールは、完全に打ち消されていたが、高村の手から離れた6球目、金本のバットが反応する。アウトコース低目の、見逃せばボールかもしれないスライダー。しかし、次の瞬間バットを振った金本の体勢が崩れ、ボールは的山のミットに収まった。試合終了である。

追いつ、追われつの、激しい試合は、最後は近鉄が逃げ切った。

1 2 3 4 5 6 7 8 9
近鉄 1 0 0 0 1 1 0 2 4 9
阪神 2 0 0 0 0 0 2 3 1 8

と、まあ、こんな感じで如何でしょうか??????