野球の話(バファローズの話)
近鉄 と 楽天 の区別
プロ野球もスポーツだから、何かこう「素晴らしいな」というような感動を得るために、球場通いしている面があります。2005年は、近鉄バファローズのないプロ野球で、一番感動したのは何かと言えば、ロッテの31年ぶりの日本一よりも何よりも、私は新球団楽天イーグルスを応援する、地元仙台を中心とした、東北のファンの方々。フルキャストスタジアム宮城の、雰囲気でした。
近鉄ファンだった方々が、勘違いしやすいのが、楽天が近鉄の後継という概念。従って、思い込みの激しい方は、開幕当初の外野席のイザコザで「近鉄を否定した」とかと言うのですが、現実界として近鉄は無視しても、否定はしていないですけどね。もし、近鉄を意識してと言うのであれば「だったら、分配ドラフトなんかしないで、近鉄の選手全員来てくれれば・・」となるでしょうし、近鉄色ばかり喧伝すると、オリックス他の球団から来た選手に失礼というものです。ま、近鉄の残像を求めるのが変ですし、無茶でもあるわけで、違った視点で観ることが賢いでしょう。
最初は、興味本位でフルキャストスタジアム宮城に行きました。ちょうど、本拠地開幕の翌日から2試合の西武戦。その前に、キャンプやオープン戦、千葉マリンでの開幕シリーズも見ていましたが、自分自身の心の整理活動の中でも、非常に大きなウェイトを占めるであろう仙台に、生まれて初めて足を踏み入れました。もちろん、普通に試合が行われていましたが、今まで自分が応援してきた選手たちが、今までとは違うユニホームで、今までとは違うスタイルで紹介され、今までとは違う人たちから声援される。その一部始終を体験し、何とも言えない寂しさも覚えたんです。何と言うか、自分のものを取られたような・・・だから、仙台に行くのはもう辞めたいな・・と、漠然とながら思いましたね。
しかしその翌週に、それまでの住処だった大阪ドームで、オリックス−楽天の試合を見ていたのですが、左中間の真ん中あたりで、何もせず眺めていた分には良かったのですが、今までの本拠ライトスタンドに入ったときに、嫌な気分になりましたね。外野自由席とは名目上で、大抵周囲に座っているのは、いつもと同じ顔触れが同じ席に座っているのですが、見知らぬ顔がたくさん。一方で、顔なじみではなくても、いつも同じ席に座る多数の「常連」が姿を消していました。そして、その試合で福盛がマウンドで、打席に日高がいてのチャンス2で、私は応援を放棄。不思議だったのは、普通に応援している方々の中に、近鉄時代からの常連もいたりして、大変失礼ながら「不感症のバカ」に見えてしまい、要は近鉄ファンではなく「応援のファン」ってたくさん居たんだなと解釈しました。挙句、礒部がホームランを打っても、静まり返るライトスタンド。さすがに、薄汚い野次はなかったものの、奇妙な光景でした。そのとき感じたのが「仙台の方がいいな」。
以後は、関東に楽天・オリックスが来たときに、スタジアムに行きましたが、楽天はそれなりに入り込めるのですが、オリックスはどうもいけません。ということで、楽天を中心に見て行けば、何かが見えてくるだろうと、漠然と感じました。巨人・阪神との交流戦を仙台で見て、応援スタイルが確立していない仙台でも、数の上では上回り、何とかイーグルスを応援したいという意思は伝わりました。けど私自身は、その応援の輪の中に加わるわけでもなく、内野席で静かに眺めるだけでした。しかし、何とも言えない心地良さを感じ、以後仙台に行く回数が自然と増えて行きました。
それでも、心の中に潜む違和感。しかし、仙台駅から「ISOBE8」のユニホームを纏って、家族揃ってスタジアムに向う方、「IWAKUMA21」のグッズを抱えてスタジアム周辺を歩く方、「YOSHIOKA3」のユニホームでキャッチボールをする子供たちを見て、本当に応援してくれてるんだなと感じました。チームは著しく低迷し、これが大阪で近鉄バファローズだったら大変な話で、薄汚い野次のオンパレードとなり、そもそも客足も遠のくことでしょう。しかし、仙台は違いました。チーム成績とは反対に、夏場前から徐々にヒートアップし、外野芝生席を中心とした応援のボルテージも上がり、選手個々の応援ボードも急増。あるとき、スタンドの常連さんと思う方が「チームが勝てないのは、俺らの応援が足りないんだべさ!」と大声で発し、それに同調する方がたくさんいました。またこんな声も「ダイエーが優勝したのも10年くらいかかったんだべさ」ってね。もう、せっかく来てくれた楽天イーグルスを、絶対に手放さないぞ、いつか優勝させるぞという意気込みですね。
こんな姿を目の当たりにして、もう近鉄がどうだとかというのが、バカバカしくなってしまいましたし、凄く小さなことなんだなとも感じましたね。同時に、楽天に来た選手たちは、本当に幸せだなと思います。いみじくも、プロ初完投勝利を挙げた朝井が、ヒーローインタビューで「仙台に来れて良かった」と言っていましたが、本当にその通りだと思います。近鉄にいた、若き才能溢れる投手の中で、唯一と言って良い楽天に来た朝井は、珍しい子供の頃からの近鉄ファンですが、確かにチャンスも多いでしょうが、彼をして「こっちで良かった」と言わせる仙台の魔力。
田尾監督の解任がありましたが、野球はやはり勝たないといけないし、選手だって仕事だから、出場機会が多いところや年俸を多く払ってくれるところを選びます。しかし、その事情がもう一つ掴めていないのかも知れませんが、仙台の方々って、球団立ち上げ当初から来てくれた選手に愛着を持っているし、あそこまでして来てくれた岩隈に対して、負けても負けても見捨てずに応援してくれるんですよね。現実界として、不可能に近いかも知れませんが、今のメンバーで優勝して欲しいと、本気で思っている方は多いし、田尾監督の解任は本当にショックだったと思います。ま、それでも、少しは現実の世界が見えたのではないでしょうか。
そう考えれば、仙台にプロ野球、それもパリーグが増えたことは正解だったと思いますし、私自身も早い時期に仙台に行ってみて、その姿を見ることが出来たのは正解でした。良く知らない人は「最初だけだ」とか遠くから言いますが、ここのパワーは凄いし、実際その場に行かなければ判らないでしょうね。しかし、今でもそうですが、私自身は近鉄時代のような応援スタイルはできないですし、今後もそれでいいのかなと思っています。楽天ウォッチャー、東北ウォッチャーで。
最後に、楽天野球団にお願いしたいのが、どうか仙台・東北のファンを裏切らないで欲しいし、ここのファンを大事にして欲しいなと思います。近鉄ファンは、別にいいです。モーニング娘の「過去は過去」でも良いですし、ヤクルト戦での横断幕の通りだと思いますし、近鉄ファンは勝手にそれぞれの道に進んで行きますから。中には、楽天を選ぶ方もいるでしょうが、それは優先しなくてもいいです。私も勝手に、楽天の試合を見ますから。だから、東北のファンが望むこと。例えば、フルキャストスタジアムの鳴り物禁止にしても、周囲が別に藤井寺のように反対しているわけでもなく、むしろもっと盛上げたら?と言うくらいですから、鳴り物もドンドン導入すれば良いですし、斬新なグッズを販売していますが、ファンが求めるのは「Eブランド」よりも選手グッズですので、そちらを優先して欲しいなと思います。楽天は、プロ野球を持つ会社の中では、比較的センスは良い(他がダサ過ぎ)ので、あまり自分たちの感覚ばかりを押し付けないようにして行けば、必ず東北の誇りになれると思います。