野球の話(バファローズの話)

バファローズの地元「大阪」

いきなり書くが、私はバファローズの地元「大阪」で生まれ育ったが、はっきり言って、この大阪という街が好きではない。いや、それどころか大嫌いで、今会社の都合で関東に拠点を置いているが、できれば大阪には帰りたくないなどと、大胆にも思っている。それは、愛するバファローズがなくなったこともあるが、それ以上にこの街の商魂の醜さや、くだらない風習や、言葉だけの「人情」を目の当りにしてきたからである。その結果犯罪が多発し、猥雑な街並みとなってしまったのである。いや、人に言わせれば私自身も大阪の街に染まった人間と映るであろうが、できれば私自身も生まれ変わりたいなどと、結構本気で思っていたりする。

先日、大阪天王寺に本拠を持つ「近畿産業信用組合」という団体(信用組合なので企業ではない)が、大阪ドームを本拠地に、新たにプロ野球を設立したい旨発表があった。そして、既に賛同を得ている一部上場の有名企業名をつらつら挙げ、その上で府民からの出資を募るということだった。基本的に私のスタンスは「勝手にどうぞ」ということであり、賛同したい奴はすれば良いし、大阪ドームでも何でも使えばいいだろう。ただ、それだけなら良かったのだが、私がカチンと来たのが「近鉄がなくなって寂しいから後継球団として・・」という旨の発言と、梨田元監督をアドバイザーなどという名目で担ぎ出したことである。まあ、これとて人によっては「試みは面白いし、気持ちは伝わるけど、もう少し早くねえ・・」というところだが、私には気持ちも何も伝わらず「ああ、胡散臭ぇ!」としか思えない。

近鉄という会社は、確かにバファローズを消滅させた。しかも、あの合併発表以降の扱いについては、腸が煮える思いである。しかし、そこに至るまでの経緯を、振り返って貰いたい。1997年、大阪ドームが建てられ、本拠地を移しました。しかし、ここは第3セクタとは言え、大阪市が管轄する施設であって、多大な使用料を近鉄が負担してきた。そして近鉄球団は1999年から、球団名を「大阪近鉄バファローズ」として、市民球団化の準備を始めた。同時に、自治体を通じて、大阪市の小学校に選手が訪問したり、野球道具を配布したりの地域密着化を進め、大阪商工会議所会頭を歴代務める立場から、バファローズへの支援を自治体や市内有力企業にお願いしていたのである。しかし、反応はどうだったでしょうか。企業は「ウチは阪神なんで・・」で、自治体に至っては、大阪ドームの使用料を値下げするどころか、その相談にも載ってくれない有様で、挙句府や市の職員に特別な優遇措置を施す。近鉄が、バファローズを残したくても、誰も協力してくれない八方塞状態になったのは、ご存知だろうか。

市民球団化・・・言うに易し、行うに難しであった。永井氏が球団代表になった時点で、この件が具体的に言われてきて、同時に近鉄ファンにも考え方が分かれてきたと思う。確かに、近鉄としてもバファローズを持ち続けることが、不可能ではなかったかも知れない。しかしそれは、抜本的な企業の構造改革を要することになり、現実的には各レジャー関係を切り離していたし、最後にバファローズを手放した恰好である。よって、近鉄からバファローズの支援を持ち掛けられたにも拘らず、全く無視した企業群や自治体があった時点で、この大阪という街はどうしようもない街なのは明白なのだ。そらそうだろう、近鉄としてもバファローズを身売りするにしても、できれば大阪の企業のほうが良いと思うのは当然であるし、大阪がダメなら東京へ話をシフトさせ、大手洗剤メーカーと話が合意する直前に、ナベツネや宮内の耳に入り、奴等の魂胆である「1リーグ」を目指すことで、横槍が入ってしまった。

確かに、この後の近鉄の行状は、褒められたものではない。そんな横槍に屈せず、身売りを断行して欲しかったし、更に言えばライブドアに対しての身売りも、真剣に検討して欲しかった。もっとも、この時点ではもう疲れ果てて、自分たちの考えを通そうとしても、横槍が入って面倒臭かったのであろうが、企業イメージを大きく損なうことになったし、選手やファンに大きな皺寄せが来てしまった。ただ、それもこれも、既に何年も前から近鉄は「SOS」を発信していて、それに賛同してくれる企業もなく、自治体はソッポを向いて、当時兵庫県がフランチャイズのはずだった阪神に、優勝の「御堂筋パレード」を行うよう、わざわざ府知事が阪神球団に出向いて「やってください」とお願いに行く有様である。かような次第に、とにかく大阪というところは、自分のことさえ良ければ何でもするという、冗談ではなく、アホの上塗りのような街になってしまったのである。

そんな過去の経緯があったのだから、もう大阪には地場の企業による球団は、阪神のみで良いのだが、なんと出てきてしまったのである。だったらあのとき!と、近鉄ファンなら思うはずである。まあ、中にはこの球団に期待する方も出て来ようが、悪いけど私はそんな単純な近鉄ファンではないし、そんなスタンスで応援してきたわけではない。別に「近畿日本鉄道を舐めるな」とは言わないが、軽々しく「近鉄の後継球団」などと語るなと言いたい。ましてや、新規参入するにしても、大阪は阪神タイガースの牙城であるから、本気でファン獲得を目指すのであれば、絶対に選択しないフランチャイズなのである。挙句「西武ライオンズからの身売りも検討」などと、寝言まで飛び出したが「大阪ライオンズ」が、近鉄の後継球団??まあ、所詮はこの程度の認識で、この件で近鉄の山口社長が久々に「お手並み拝見やな」などと、憎まれ口を吐いたが、珍しく山口氏に賛同します。もっとも、お手並みどころか、頓挫してお終いだろうが・・・

合併の発表がなされた後、何だか訳のわからない奴が、大阪ドームに大量発生した。「合併反対!」と声高に言っているが、お前見たことないで・・・という意味で。いや別に、見たことない奴が来たらいけないとは言っていない。何だか知らないけど、見ず知らない奴に、合併反対理論や、近鉄理論、挙句野球理論まで飛び出され、しかも内容は陳腐であって白けることこの上ないのだ。それと、知ったかぶりの「近鉄列伝」も辞めてくれ。例えば「ノリの野郎の守備じゃなぁ」とか「岩隈は甲子園のときから人気者だった」とか「礒部も今年から選手会長になって大変だなあ」とか・・・単に酒を飲みたい、メシをご馳走になりたいだけで、近鉄ファンと称して近づくのは辞めてくれ。オレらの基本は「現場主義」であって、野球は現場で見てナンボの世界。テレビで中継されない分、できるだけ現場で見る習慣が、ガキのころからついている。私の知る遠方のファンの方数人は、時々大阪に来られるので、確かに少ない機会であるから人との交流もしていた。しかしそれ以上に、現場それも本拠地の有難味を感じながら応援したり、イベントにも参加していた。そして、合併発表がされてからも、できるだけその話題に触れないようにしていた。だって、せっかく高いゼニ払って来たのだから、存分に楽しみたいに決まっている。それが、いてまえ(ファン)魂というものだ。それを理解してから「近鉄の後継」と言うて来い!